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日本共産党文京区議会議員団は、区民のための区政を目指します

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議会報告Congress report

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2025年文京区議会9月定例議会
一般質問 千田えみ子区議     2025年9月11日

診療報酬実質マイナス改定で経営逼迫する地域医療機関の支援を
保険証廃止による自治体と受診者の負担増を踏まえ保険証復活こそ
ОTC類似薬の保険給付外しや高額療養費の上限額引上げは断念を
国民健康保険は社会保障なので、法定外繰入継続で負担増止めよ
最高裁判決「生保基準の1割削減は違法」への区の対応を問う
白山4丁目国有地活用を機に千石・大塚の積年の願いB-ぐる実現を
文京のみどりと文化と住環境を壊す都道環状3号線計画は廃止を
土地の境界線などに関する地籍調査の進捗について
障がい者権利条約の理念踏まえ当事者参加で福祉避難所の準備を
人事院勧告による保育士の賃上げは本当に保育士に届いているのか
異常な猛暑の下、子どもの生きる・育つ・遊ぶ権利の保障を


診療報酬実質マイナス改定で経営逼迫する地域医療機関の支援を
(千田えみ子区議)
 
全国保険医団体連合会が今年2月に実施した「物価高騰に関する医療機関の緊急影響調査」で、2024年度の診療報酬改定で医療機関の経営が逼迫していることが明らかとなりました。報酬改定で、「減収となった」との回答が6割超、光熱費、材料費等の経費を診療報酬改定で、「補填できていない」との回答は9割を超え、光熱費や医療材料、検査会社による委託費用などの諸物価高騰を、公定価格である診療報酬に価格転嫁できないため、深刻な窮状が浮き彫りとなり、診療報酬改定で人件費を「補填できていない」との回答も9割を超えます。
 2024年度報酬改定は、諸物価高騰に全く追い付かず、特に地域医療を担う事業者の経営は限界です。次回診療報酬改定を待たず、早急に診療報酬改定を国に求めるべきです、伺います。
 医療機関の人材確保は深刻で、「看護師の紹介手数料は年間1千万円以上必要、事務員の確保も困難で、時給の高いスーパーなどに行ってしまう」と困惑の声が寄せられています。地域医療機関を持続させるため、地域医療の担い手への経営支援、人件費補助が必要です、区長の認識を伺います。
(区長答弁)
 
最初に、診療報酬に関するご質問にお答えします。
 まず、診療報酬改定についてのお尋ねですが、診療報酬については、国において様々な検討がなされていることから、国に改定を求める考えはございません。
 次に、地域医療の担い手への経営支援等についてのお尋ねですが、国の「骨太の方針」において、昨年度実施した診療報酬改定による処遇改善や経営状況について、その実態把握と検証を行い、経営の安定と幅広い職種の賃上げにつながるよう的確な対応を行うため、本年度末までに結論が出るよう検討を行うことが明記されているところです。
 また、都においては、物価高騰に対応するため、医療機関への支援策が既に実施されております。
 これらのことから、現時点において区が独自に、経営支援等を実施する考えはございません。


保険証廃止による自治体と受診者の負担増を踏まえ保険証復活こそ
(千田えみ子区議)
 
国が保険証廃止を強行したため、区はマイナ保険証の有無により、資格情報通知書か資格確認書を発行しています。自治体では新規転入の際、マイナンバーカードを保持している方が「保険証を連携している」と言った場合、資格情報通知書を発行していると言いますが、実際には保険証の機能が連携されていない例が多いと聞いています。文京区でその事例は毎月何件ありましたか。また、その方に資格確認証を簡易書留で郵送するはずですが、郵送費は総額でいくらかかったのですか。そして、その事務費は国が出しているのか伺います。
 保険証廃止による事務負担を解消し、国保加入者の医療へのアクセスをスムーズにするため、世田谷区や渋谷区では、国保加入者全員に資格確認証を発行しています。文京区でも資格確認書をマイナ保険証の有無にかかわらず、一律に発行するべきです、伺います。
 政府は「マイナ保険証」への一本化に向けて、12月2日以降、従来の保険証の利用を停止する方針です。一本化と言えば、様々な手続きが効率化されるように聞こえますが、実態は真逆です。保険証の廃止以降、医療機関の窓口で保険情報を確認する証明書は、期限切れ保険証の暫定的な運用も含めると、少なくとも9種類混在する異常事態と言っています。これらの混在する証明書は、これまでは保険証1枚あれば不要だったものであり、国に保険証の復活を求めるべきです、伺います。なお、国保と後期高齢者医療は、期限切れ保険証を来年3月まで暫定的に利用できることを郵送も含めて区民に周知するべきです、伺います。
(区長答弁)
 
次に、健康保険証に関するご質問にお答えします。
 まず、新規転入時の資格確認書等についてのお尋ねですが、「マイナ保険証」の利用登録がないため資格確認書を郵送した件数は、本年1月17件、2月14件、3月26件、4月33件、5月44件、6月16件、7月7件、8月17件です。なお、郵送費は総額約8万円で、区が負担しております。
 次に、資格確認書等についてのお尋ねですが、「マイナ保険証」は、国が進める医療DX推進政策の柱の一つであり、区は保険者として普及に向けた取り組みを進めていく必要があることから、資格確認書の一律交付を行うことや、従来の健康保険証の発行について国に求める考えはございません。
 なお、保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱いは、制度移行期において医療機関等の現場における実態を勘案して認められる対応です。
 医療保険の受給資格の確認は、有効な保険証や資格確認書、「マイナ保険証」により行うことが基本であることから、保険者として、有効期限切れの保険証の利用を推奨する考えはございません。


ОTC類似薬の保険給付外しや高額療養費の上限額引上げは断念を
(千田えみ子区議)
 
6月11日、自民、公明、日本維新の会は「社会保障改革」と称する「合意」を行い、OTC類似薬の保険外しを行う構えです。実施されると、自己負担金は解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンが42倍、胃酸分泌抑制剤のファモチジンは60倍と大幅に跳ね上がります。子ども医療費無料化制度があっても、保険から外された薬は全額自己負担となり、現役世代の家計を直撃します。その上、自己判断でのOTC類似薬の使用で、症状の悪化や過剰摂取が心配です。そして、いのちに関わる受診抑制による重症化など問題点は噴出します。国に断念することを求めるべきです。
 更に、負担増をもたらす高額療養費の負担上限額引き上げは、国民の反対で凍結に追い込みましたが、国は「2025年秋までに方針を検討する」としており、引き上げが実施される可能性も否定できません。国に断念を求めるべきです、併せて伺います。
 国は医療費の4兆円削減を推し進めようとしていますが、区として医療費抑制策に抗議の声をあげ、医療提供体制を拡充し、誰もが安心して受けられる医療の充実を求めるべきです、伺います。
(区長答弁)
 
次に、医療費についてのご質問にお答えします。
 現在、国において、OTC類似薬や高額療養費等、医療保険制度について、様々な議論がなされているところであり、区としては、その議論の動向を注視し、適切に対応してまいります。


国民健康保険は社会保障なので、法定外繰入継続で負担増止めよ
(千田えみ子区議)
 
私たち区議団が行った区民アンケートに、908名の方からの回答があり、国保料や後期高齢者医療保険料の引き下げを希望されている方は44.8%でした。高すぎる国民健康保険料に悲鳴が上がっています。7月に国保料の納付書発送後、国保の窓口への問い合わせは、電話と来庁者それぞれ何件でその内、保険料への問い合わせ何件か、お答えください。
 国保料や後期高齢者医療保険料の区独自の軽減は可能です。国保会計への法定外繰り入れを継続し、子どもの均等割りを解消すべきです、伺います。
 更なる負担増として、令和8年度から子ども子育て支援金が公的医療保険に上乗せされますが、国保特別会計の目的外使用ではないでしょうか、伺います。
 そもそも国保法第1条には「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保険の向上に寄与することを目的とする。」と明記されています。区長には「国保は社会保障」との認識がありますか、伺います。

(区長答弁)
 
次に、国民健康保険に関するご質問にお答えします。
 まず、窓口への問い合わせについてのお尋ねですが、保険料に関するものも含め、問い合わせ件数の集計は行っておりませんが、例年通り、7月に保険料決定通知書を発送した直後は問い合わせが増加し、8月以降は平常通りとなっております。
 次に、法定外繰入や子どもの均等割についてのお尋ねですが、法定外繰入による保険料の引き下げは、国民健康保険加入者以外の区民との負担の公平性の観点からも望ましいものとは言えないため、法定外繰入の将来的な解消を見据え対応していくべきと考えております。
 また、子どもの均等割保険料については、国より「均等割保険料の全額を免除することは適当ではない」との考え方が示されていることから、区独自で子どもの均等割を廃止する考えはございません。
 次に、子ども・子育て支援金制度についてのお尋ねですが、国は、「少子化、人口減少に歯止めをかけることにより、医療保険制度の持続可能性を高め、その存立基盤に重要な受益となるもの」と説明しております。このことから、国民健康保険特別会計の目的外使用に当たるとは考えておりません。
 次に、国民健康保険制度に対する認識についてのお尋ねですが、国民健康保険は、国民皆保険制度の最後の砦であり、国の社会保障体系の中核をなすものの一つであると認識しております。


最高裁判決「生保基準の1割削減は違法」への区の対応を問う
(千田えみ子区議)
 
2012年の総選挙で自民党が生活保護バッシングを行い、生保基準の1割削減を主張し政権復帰した後、2013年8月から3回に渡り行われた生活扶助基準の6.5%〜10%、670億円もの史上最大の削減について今年6月、最高裁は違法とし自治体が行った減額処分の取消しを求める判決が勝ち取られました。判決に対する認識と判示に添った対応を求め、あわせて伺います。
 わが党区議団は、削減について「保護基準引き下げによる生活扶助費の削減を断念するよう求よ」と質し、実施後も利用者の「食費1週間分が減額された」「『根拠』が納得いかない」という声を示し、国に減額撤回と減額の影響を質しています。その時、区長は国への要望は行わないとし「国が定めた基準に基づく」ことが「適切」との認識を示しています。最高裁判決は、生活保護行政が憲法13条「個人の尊厳」と25条や生活保護法3条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を侵害し続けたことを厳しく断罪していますが、区長は自らの答弁を真摯に反省し謝罪すべきです、伺います。
 また、2013年8月に削減を実施した直後、わが党の質問で削減見込みは、8月が208万円、2013年度が1,700万円、2014年度5,000万円、2015年度7,500万円としていましたが、2013年度から昨年度までの削減額と削減された世帯数を年度ごとに示し、削減された世帯の被害回復を行うべきです、伺います。特に、提訴した方の減額分も個別に示して下さい。同時に、生活保護基準を参照する事業は43事業との答弁でしたが、これら全てについて12年間の削減額または負担増総額をそれぞれ伺います。
 尚、就学援助は生保削減後も影響回避する区独自の措置を取ってきましたが、そのために区が独自に支出した分は国に請求すべきです、伺います。
 賃貸で居住する生活保護利用者が死去した際、住居の清掃費や家財道具の処分費用について、大家や不動産会社等が負担しているケースがあることを、区は把握していることが予算委員会で分かりました。生活保護の住宅扶助水準の家賃で物件を提供する家主や、不動産業業者からは「生活保護行政に協力しているのに清掃費が無いとこれ以上貸せない」との困惑の声が繰り返し寄せられています。区が予算委員会で紹介した川崎市のモデル事業は、そもそも生活保護利用者は対象外です。違法な生活扶助削減で、健康で文化的な最低限度の生活水準以下の生活を強いられた方に住居を提供してきた家主や不動産業者にも、せめて清掃費などの退去費用を支給すべきです、伺います。
 生活保護は最後のセーフティーネットです。誰もが申請権を持つことを周知するポスターをつくり活用すること、生活保護のパンフレットはウェブでの公表に留めず、区施設に配架して誰でも手に取れるようにし、生存権は人権であることから生活保護制度の「受給」でなく「利用」に訂正し、制度利用者の義務よりも、権利を先に説明するよう改善を求めそれぞれお答えください。
(区長答弁)
 
次に、生活保護に関するご質問にお答えします。
 まず、最高裁判所の判決に対する認識等についてのお尋ねですが、生活保護基準は、国が社会保障審議会の検討結果を踏まえて定めたものであり、区では、この基準に基づき適正な運用を行っているところです。今般の最高裁判決を受け、国において今後の対応のあり方について検討がなされております。
 区としては、こうした国の動向を注視し、国から方針が示された際には、適切に対応してまいります。なお、これまでの削減額、世帯数及び生活保護基準を参照する事業への影響については、国の検討結果が示されていない現時点において、算定することは困難であると考えております。
 次に、家財処分費用等の支給についてのお尋ねですが、生活保護受給者が亡くなった場合、部屋の整理は生活保護制度の対象外であり、原則、受給者である賃借人の相続人が行うこととなっております。なお、身寄りのない高齢者等が抱える死後の事務支援などの対応については、国において様々な検討がなされていることから、その動向を注視してまいります。
 次に、生活保護の周知等についてのお尋ねですが、区ホームページに掲載するパンフレットについては、生活保護の相談があった際、相談者の理解が、より深まるよう作成したものであり、表紙に「生活保護の申請は国民の権利」と掲げております。内容については、制度の仕組みや受給者の権利等について、わかりやすく、かつ丁寧に説明したもので、人権に配慮したものと認識しています。
 また、区の施設等への配架やポスターの掲示は考えておりませんが、引き続き、相談者に寄り添った分かりやすい説明と、相談しやすい環境づくりに取り組んでまいります。
(教育長答弁)
 
教育に関するご質問にお答えします。
 はじめに就学援助に関するお尋ねですが、生活扶助基準の見直し後の就学援助の認定基準額については、国の通知を参考に算定しているところです。そのため、本件に関し、国に要望を行う考えはございません。


白山4丁目国有地活用を機に千石・大塚の積年の願いB-ぐる実現を
(千田えみ子区議)
 
最高裁判所職員住宅跡地・白山4丁目国有地は、令和元年12月に「留保財産」として指定され、今年3月に区は「活用方針の素案」を国に提出しました。
 素案には、高齢者施設と共に「多目的スペース」が明記してあります。白山2,3,4丁目には洋室の区民施設がなく、「多目的スペース」は土日祝日や夜間などは、地域住民が利用できる洋室の会議室とし、加えて地元が要望する防災備蓄倉庫も確保するよう、募集要項へ記載すべきです、お答えください。
 区が公共交通不便地域である、白山3,4丁目、千石2,3丁目、大塚4,5,6丁目の住民に、「新たな公共交通システムに関するアンケート」を実施した結果、1,016人の回答の中で、コミュニティバスの希望者は33.9%と断トツ1位です。
 実現するためには、千石2丁目から白山2丁目につながるクランク道路がネックになっています。白山4丁目国有地の募集要項に道路と敷地の一部を使い、B-ぐるが通行できるよう整備も記載すべきです、伺います。
 そして、地元住民の多くが生活圏とする、巣鴨駅とシビックセンターまでの運行を含め、地元住民の積年の願いでもあるコミュニティバス、B-ぐるを早く実現すべきです、お答えください。
 なお根津、旧中山道、目白台の神田川沿いの地域への新たなルートも順次実現すべきです、伺います。B-ぐるが土日は1時間3便から2便に減便になり、区民から「不便になった」と沢山の声を聞いています。1時間3便に戻すべきです、合わせて伺います。
(区長答弁)
 
次に、白山四丁目国有地についてのご質問にお答えします。
 高齢者施設の整備にあたっては、法定の必要面積を適正に確保した上で、地域交流スペースや地域防災への考え方等も含めて事業者に提案してもらうよう、公募の手続きを進めております。
 地域交流スペース等の整備や防災への協力のあり方については、今後、整備を行う事業者において、地域の要望を踏まえて進めることとしております。なお、当該国有地は、国が所有権を留保しつつ定期借地権による貸付を行う「留保財産」に指定されているため、募集要項に道路の整備を記載することは、考えておりません。
 次に、コミュニティバスについてのご質問にお答えします。
 公共交通不便地域の解消については、社会情勢や交通システムの進展等を踏まえた上で、コミュニティバスを含め様々な公共交通サービスを総合的に検討していくべきものと考えております。したがって、白山・千石・大塚地区の公共交通不便地域については、コミュニティバスのみを前提とした検討は行っておりません。なお、根津、旧中山道、目白台の神田川沿いの地域への路線拡大についても、考えておりません。
 また、土日・祝日の臨時ダイヤについては、早期に臨時ダイヤを解消するよう運行事業者と協議を重ねておりますが、運転士不足の状況が解消されていないため、引き続き、運行事業者の行う人員確保策への支援に努めてまいります。


文京のみどりと文化と住環境を壊す都道環状3号線計画は廃止を
(千田えみ子区議)
 
次は、環状3号線についてです。
 東京都は7月29日、来年度から15年間で進める「東京における都市計画道路の整備方針」第5次事業化計画の中間のまとめを公表しました。都は、中間のまとめの「はじめに」で、「世界で一番の都市・東京」を実現していくため都市計画道路の整備方針を取りまとめるとし、潤沢な財政を未整備の都市計画道路建設をはじめ、大型都市再開発につぎ込もうとしています。
 これに関し、「環状三号線計画がまだあったのか」、「計画があることを知っていればマンションは買わなかった」と驚きの声、「私達が納めた税金は、新たな道路建設ではなく、医療・福祉や教育関連、緑地公園の拡充等、人々のニーズの高い施策に投入を」等、公共工事のあり方を問う声が私たちに多数寄せられました。
 環状3号線は、第四次事業化計画で必要性が確認された都市計画道路で、「計画内容再検討路線」とされています。中間のまとめは、「都市計画道路の必要性の検証」の考え方として、10年前に策定した「第四次事業化計画」とほぼ同様ですが、10年前は4つの基本目標をもとに、15の検証項目の設定でした。しかし、今回は4つの基本目標と項目は10に減らす一方、あらたに都全域に関わる項目と、地域に関わる項目を各5項目ずつに分け、検証項目6から10までは地域に関わる項目として、地域の実情を踏まえて各区市町で検証するとされています。都からどのような要請があり、どう都に答えたのか、今後の対応を含め、考えを伺います。
 また、この中間の見直しのチャートフローでは、項目のどれかに当てはまるようになり、必要性が高い路線となれば、必然的に優先整備路線となるのではないかと思われますが、区の認識を伺います。
 すでに都市整備局は、環状三号線の事業化の可能性を探るため、地形や現在の土地利用を考慮し、必要とされる道路機能を発揮するための整備形態を引き続き検討するとして、都は2019年から2021年で2,900万円を投じ、事業者に道路線形基本設計作業や地下水位調査を行い、江戸川橋体育館、こひなた保育園隣の茗荷谷児童遊園、環3桜並木緑道の3か所でボーリング調査を行い、交差点2か所を含む道路線形の検討、交差部に配置する橋梁や、トンネルなどの構造物の概略設計をまとめ2022年4月に報告書が提出されています。福手ゆう子都議が情報公開を行いましたが、検討案の整理、橋梁・トンネル・掘割の概略設計、概算工事費・概算用地補償費の算定に関わる内容は、すべて黒塗りで検討内容を知ることができず、隠ぺいしていると思わざるを得ません。税金投入されているのですから、少なくとも計画線上にある小日向・水道地域を中心に報告書の内容を区民に明らかにし、区の考え方を知らせる説明会を開くべきです。お答えください。
 1981(S56)年、当時の区長名で都知事あてに、「環状三号線の都市計画決定についての要望書」が提出されていますが、その中で「当区が実施した『都市計画道路再検討案』のアンケートで、回答者の63%が計画に反対であり、住民側はこの計画に厳しい姿勢を示して〜区及び区民にとって重大な問題で〜十分考慮し再考されるよう」と記されていました。44年前、区長は区民生活への影響が重大と認識し、アンケートを行っていますが、現在はその当時より、都は巨大な財政力を使い、巨大開発にのめり込んでいます。きわめて重大な事態が切迫していると判断し、区が独自に環状三号線に関するアンケートを緊急に行うよう求めます。お答えください。
 日本共産党区議団は、本会議・委員会・都計審でも再三再四、環三計画の廃止を要求してきました。区長は、「本区への影響も極めて大きいことから、地域と区民の理解が得られる計画にしていくよう、強く都に申し入れている、地元の意向に十分配慮したものになるよう、また慎重に対応すべきものと」との答弁を繰り返されていますが、「極めて大きい影響」について具体的にお答え下さい。
 去る6月の都議会議員選挙で、区長が推薦した二人の候補のうち、お一人が選挙最終盤には街頭で「環3計画廃止を」と訴えていました。区長も同じ認識なのか伺います。今こそ45年前に区と議会、住民が一致して意思表明した歴史に学び、区長と議会で、東京都に廃止を要求しようではありませんか、お答えください。そして、区民と議場の皆さん、ご一緒に力を合わせましょうと心から呼びかけるものです。
(区長答弁)
 
次に、環状3号線に関するご質問にお答えします。
 まず、「東京における都市計画道路の整備方針」についてのお尋ねですが、これまで、必要性の検証にあたり都からの具体的な要請はなく、「地域に関わる検証項目」については、中間のまとめに係る意見募集を踏まえ、今後、東京都、特別区及び26市2町で検討を行っていく予定です。
 次に、優先整備路線についてのお尋ねですが、今後、必要性が高い路線を対象に、総合的に優先整備路線を選定していくため、必要性が高い路線が必ず優先整備路線になるということではございません。
 次に、調査報告書についてのお尋ねですが、現在、都では、区内の環状3号線における整備形態等の検討が行われておりますが、区と協議できる段階には至っていないと聞いており、区として報告書の内容は把握しておりません。
 環状3号線については、本区への影響も極めて大きいことから、今後とも地域と区民の理解が得られる計画にしていくよう、強く都に申し入れてまいります。
 次に、本区独自のアンケートについてのお尋ねですが、環状3号線は、本区のみならず計画区域全域に関係する路線であり、その他の路線も含め、都市計画道路の整備方針については、必要性等を東京都、特別区及び26市2町と協働で検証しております。
 また、整備方針の策定にあたっては、都で意見募集などを行うため、本区独自でアンケートを行う考えはございません。
 次に、道路整備による影響についてのお尋ねですが、買収やそれに伴う移転、生活再建などに加えて、工法や整備形態によっては工事期間の長期化による、居住環境への影響が想定されます。
 また、地域内の行き来がしづらくなることにより、生活動線や地域コミュニティへ影響が出るなどの可能性も考えられます。
 次に、計画廃止の認識についてのお尋ねですが、地域と区民の理解が得られる計画にしていくよう、都に強く申し入れているところであり、区として慎重に対応すべきものとの考えに変わりはありません。


土地の境界線などに関する地籍調査の進捗について
(千田えみ子区議)
 
地籍調査に関して伺います。
 災害などによって土地の境界線がわからなくなることは、災害からの復旧・復興が遅れる要因にもなります。国土交通省によれば、地籍調査は「土地取引の円滑化、災害からの早期の復旧・復興、効率的なインフラ整備」などの効果があり、地籍調査の進捗率を優先実施地域で、令和11年までに87%、調査対象地域全体での進捗率を57%にまで引き上げる「第7次国土調査事業十箇年計画」を示しています。
 一方、国土交通省の地籍調査WEBサイトによれば、文京区の進捗率は7%にとどまり、調査状況については「休止中」で、「再開に向けて準備を行っています」とありますが、7%にとどまっている要因と休止中の理由を伺います。また区は地籍調査に、令和6年度は2,272万円、令和7年度は1,783万円を予算計上していますが、各年度の内訳と金額、また区道と民有地の境界線については地籍調査を進め、災害対策に取り組むべきではありませんか、併せて伺います。
(区長答弁)
 
次に、地籍調査に関するご質問にお答えします。
 まず、進捗と休止理由についてのお尋ねですが、都市部では、細分化された一筆(いっぴつ)の土地が多いことから、権利関係が複雑であるとともに、土地所有者の特定が難しいため、調査に時間がかかる状況となっております。
 また、令和2年9月の国土調査法改正に伴い、官民の境界に加えて、新たに民民の筆界点(ひっかいてん)の確認が、国及び都補助金の要件とされたことから、円滑な調査実施に向けた課題整理のため、現時点では調査を休止しております。
 次に、各年度予算の内訳と金額についてのお尋ねですが、昨年度は、公共基準点維持管理委託2,260万円、担当者講習会の参加費用等12万円、本年度は、公共基準点維持管理委託1,770万円、担当者講習会の参加費用等13万円となっております。
 次に、区道と民有地の境界についてのお尋ねですが、土地所有者の申請による境界確定を引き続き実施し、地籍調査としての事業再開については、国や都、他自治体の状況を踏まえ、検討してまいります。


障がい者権利条約の理念踏まえ当事者参加で福祉避難所の準備を
(千田えみ子区議)
 
7月31日に開催された「心身障がい者(児)及びその家族との区政を話し合う集い」には8団体が参加し、60項目の要望が出されましたが、そのうち3団体から、災害時に福祉避難所への直接避難を求める声が寄せられています。
 区は、災害時の福祉避難所への直接避難については、旧耐震基準で建てられた自宅に住んでいる方で、区で定めた二次的トリアージ基準などの要件を満たす対象者に、意向調査を行うなど限定していますが、例えば医療的ケア児・難病児の親の会「てとて」からは、避難すべき福祉避難所がわかれば、避難経路を事前に確認することができ、福祉避難所側も準備できるものとできないものが明確になり、要支援者とその保護者も備蓄をより具体的に備えることができるといいます。医療的ケア児・難病児といった、災害時に最も支援が必要な方は、災害時の福祉避難所を特定すべきではありませんか。伺います。災害時要配慮者・福祉避難所検討会は、区職員や福祉施設職員等で対策や支援を検討しているとしていますが、「私たちのことを私たち抜きで決めないで」を合言葉に世界中の障害当事者が参加して作成された「障害者の権利に関する条約」に基づき、当事者の方も参加していただき、対策と支援策を作るべきです。伺います。
 この間、日本共産党区議団は、聴覚障がい者の方に向けたコミュニケーションツールとしての、タブレット端末の支給を求めてきました。区と聴覚障がい者の方との懇談では、特に災害時に、例えば近年多発する集中豪雨時でも「雨の音が私たちは聞こえない。だから外で何があるかわからない」、「土砂崩れとか避難しなければならなくなった時に気づかず、逃げ遅れるということが一番心配」との声が寄せられています。聴覚障がい者団体の方からは、タブレット端末は、聴覚障がい者が手話や文字で情報を受け取り、意思疎通ができるとしており、災害時に聴覚障がい者の方に速やかに情報が伝わるよう、タブレット端末を支給するべきではありませんか。伺います。
(区長答弁)
 
次に、要配慮者に対する災害時の対応に関するご質問にお答えします。
 まず、福祉避難所についてのお尋ねですが、福祉避難所は、平常時には入所又は通所施設等として運営されているため、災害の際は、入所者・利用者の安全確保、施設の被災状況や職員配置等を確認の上、開設する必要があります。このため、在宅避難が困難な避難行動要支援者は、はじめに一般避難所へ向かっていただくことを原則としております。
 福祉避難所への直接避難については、避難行動要支援者名簿への掲載者のうち、旧耐震基準の自宅に居住し、区で定めた二次トリアージ基準等の要件を満たす方を対象にしております。対象者には、事前に意向調査を行うとともに、福祉避難所との調整を行い、在宅避難が困難な場合に備え、直接避難が円滑に行われるよう取り組んでおります。今後とも対象者へきめ細かな調査を行うとともに、直接避難については福祉避難所協定施設との協議を進めてまいります。
 次に、災害時要配慮者・福祉避難所検討会についてのお尋ねですが、本検討会については、福祉避難所で受け入れが想定される避難行動要支援者の種別・症状等が多岐にわたることから、その対象ごとの当事者に参加いただくことは考えておりませんが、各分野の福祉施設職員等に、当事者の視点を踏まえた専門的な知見からの意見をいただきながら、対策や支援を検討してまいります。
 次に、聴覚障害者向けタブレットの支給についてのお尋ねですが、区では、ホームページや防災アプリのほか、エリアメール、Lアラート、SNS等、複数のツールを活用し、全ての方に災害情報が確実に届くよう努めております。
 また、避難所には、手話通訳アプリがインストールされたタブレット端末を配備するほか、当事者団体の要望を伺いながら、手書き電光掲示板を全避難所に配備するなど、聴覚障害者に対する情報伝達が確保されるよう取り組んでいるところです。現在のところ、平時からタブレット端末を貸与する予定はございませんが、引き続き、災害時の丁寧な情報伝達に努めてまいります。


人事院勧告による保育士の賃上げは本当に保育士に届いているのか
(千田えみ子区議)
 
2024年度の人事院勧告を踏まえ、保育施設の人件費も2月補正で10.7%引き上げました。この引き上げ分が現場の保育士に届いていないという声が寄せられていると、4月1日の東京新聞が報じました。全産業平均と比べても低い保育士の賃金を引き上げるための公費の上乗せが、現場の保育士まで届いていないとすれば、大きな問題です。報道では、子ども政策担当大臣が「各自治体を通じ、迅速かつ確実に一時金などにより賃金の支払いにあてることや、次年度以降の給与表、給与規定等の改訂に取り組んでいただくことを要請している」と話したとのことですが、この上乗せ分の公費が、現場の保育士に届いているか、区としても実態を把握し議会で報告するべきです。伺います。
 また障害福祉や介護も、保育と同様に公定価格によってサービスが提供されているのに、人事院勧告を踏まえた人件費アップが区の補正予算で対応されるのはなぜ保育だけで、介護や障害福祉には同様の対応がとられないのか。理由を伺います。
(区長答弁)
 
最後に、保育士や介護職員等の人件費に関するご質問にお答えします。
 まず、保育所の公定価格引き上げ分に係る実態把握についてのお尋ねですが、区では、各運営事業者から処遇改善等加算の実績報告を受ける際、給与簿等の提出も求めながら、確認を行っております。なお、支払いを受けていない等の相談が個別にあった場合には、速やかに雇用先の運営事業者に対し確認を行う等、引き続き、保育士の処遇改善につながるよう取り組んでまいります。
 次に、介護職員等の人件費についてのお尋ねですが、公的価格の制度における介護、障害福祉サービスの報酬については、国の社会保障審議会において、実態調査で把握される施設や在宅サービスの類型ごとの収支状況を踏まえ、その提供に要する平均的な費用等を勘案し、原則として3年ごとに報酬を決定することとされているため、保育とは仕組みが異なっております。


異常な猛暑の下、子どもの生きる・育つ・遊ぶ権利の保障を
(千田えみ子区議)
 
近年の異常な猛暑で、子どもの外遊びが制限されています。公園の遊具は日差しで火傷するほど熱くなっており、じゃぶじゃぶ池は水温が上がり、教育の森では「まるでじゃぶじゃぶ温泉だ」という声が寄せられています。キリンホールディングスが3〜6歳の子どもと親を対象にした、夏の外遊びに関する調査で、夏に子どもの外遊びを止めた経験のある親は93.4%に上り、「子どもの外遊びの頻度が少ないと思う季節」については49.6%が「夏」と答え、冬の約1.5倍です。子どもの権利条約にある「生きる権利・育つ権利」、「健康・医療への権利」、「休み、遊ぶ権利」が猛暑の影響により制限されている状況です。区内のある小学生からは、「日曜日も児童館を開けてほしい。日曜日が退屈で苦痛」という声も寄せられています。子どもたちが夏も安心して遊べるよう、日曜日も児童館を開館し、区内の区立小中学校は体育館を土日もエアコンをつけて解放し、子どもたちの遊び場を確保するべきです。
 また夏休み中は、家庭の経済状況で満足に食べられず、子どもたちがやせてしまうという実態も生まれており、希望する児童には夏休み中も給食を提供するべきです。また児童館や区立保育園・学校では、廊下や玄関にもエアコンを入れることを求め、併せて伺います。
(区長答弁)
 
次に、子どもたちの遊び場の確保についてのお尋ねですが、児童館を日曜日に開館することについては、職員の勤務体制の確保などの課題があり、現時点で考えておりません。
 また、土曜、日曜、祝日等に地域の子どもたちに小学校の校庭を開放する「こどもひろば」事業では、猛暑の影響などを考慮し、体育館で活動が実施できるよう努めてきたところです。今後も、悪天候の際には体育館で実施できるよう学校と調整し、子どもの屋内遊び場の確保に取り組んでまいります。
 次に、夏休み中の給食提供に関するお尋ねですが、本区では、現在、こども宅食プロジェクトや子ども食堂への支援を展開しております。夏休み中に学校給食を提供することは考えておりません。
 最後に、学校等の廊下や玄関へのエアコンの設置に関するお尋ねですが、引き続き各施設の状況をふまえ、必要な対策を進めてまいります。



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